人のモノ…


わざと突き放す。

それがまた魅力的。逆に気持ちに追い打ちをかけるってものでしょ?


案の定、突き放された都築くんの視線が背中から突き刺さるのが分かる。

ふふ…。背を向けたあたしは満面の笑みで冷蔵庫を開けようとした。

だけど…



「美華……」


突然背後から温かい感触。

ぎゅっと抱きしめられて、あたしの動きは2つの腕にぎゅっと止められた。


「好きなんだ…」


そしてそんな熱い囁き…

油断したあたしに耳元に彼の声がそっと響く。


「頼む、俺から逃げないで。ちゃんと向き合って、俺を見て?」

「…都築、くん?」

「嫌なら今だけでいい。1分、いや1秒でも構わない。この瞬間、この気持ちをないがしろにしたくないんだ。初めてなんだ。こんなに….、こんなに自分の気持ちが抑えきれない感情は」


「ーーー」

「めちゃくちゃ好きだ……、もう、自分でもどうしたらいいかわからないぐらい美華が…、俺…」

「あ……」


そこまで言ってきつく、きつく抱き締められた。

都築くんの唇が耳元にふれて、あたしをぎゅうぎゅうに抱きしめてくる。