「西條さんが好きなんだ」
グイッと引っ張られて、そのままギュッと抱きしめられた。
都築君の真剣な声が耳の奥に響き、パチンと自分の中で何かが弾けた音がした。
「ごめん、急にこんなこと……,。けど、どうしても我慢できなくて、さっきあの店で西條さんが木嶋って男に迫られてるのを見た時、正直自分でも驚くほど嫉妬した。
勝手に触れてんじゃねーよって、俺以外の男と親しげにしてる西條さんを見た瞬間、今まで抑えてた自分の感情が一気に爆発したんだ」
背中に回された手が強くなる。
あたしは不意をつかれたまま、そんな彼の抱擁のなすがまま……。だけど…
「ああ、好きなんだって。西條さんのことがもうどうしようもないぐらい好きになってるって……っ。だから俺……」
都築くんの声が熱く注がれる…
苦しく、切羽詰まったような想いを向けられたあたしは思わず彼の肩に顔を押しあてた。
ニヤリ…
そして、ふっと笑みがこぼれてしまう。
だってこれ…
まさかの形勢逆転!
まさに願ったり、叶ったり。
予想もしてなかった彼からの告白に、あたしの笑みはゆるゆると揺らがずにはいられない。



