人のモノ…


それは、ずっとオロオロと泣いてばかりいた当の本人のもので



「もう、やめてよ!!」


「でも奈津美!こいつが――」


「皆が見てるから!もういいから!恥かしいからやめて!!」



その言葉と同時に、あたしの胸元が解放される。


緩くなった胸元に、やっとまともになった呼吸。


気が緩んだ瞬間、勢いよく酸素を取りこんだせいで思わずゴホゴホと咳き込んでしまったけれど



「っっ、最悪……」



この女、どれだけの馬鹿力を発揮してるのよ。


まるで野獣。


もう、信じられな……








――…パシンっ!!




突然頬に衝撃がはしり、あたしはハッと顔を上げた。