「じゃあ、ちょっと上にいてる。何か私に話しある奴は遠慮なく来て欲しい」
戻ってこないで欲しいと言われたら、なんて考えてしまって少しだけ声が震えた気がする。
でも、そんな事を思っているなんてバレたくなくてすぐに幹部たちがいる部屋へと足を進めた。
「瑠榎さん?」
階段を上りきり、扉の前に立ってなかなか扉を開けようとしない私に隼人が不思議そうに声をかける。
「いや、大丈夫。なんでもない」
自分に言い聞かせるように言ってから扉を開けた。
目があったのは寛いで雑誌を読んでいたであろう類だ。
「え、瑠榎?」
「よぅ…」
ここでもまた、恐る恐る右手を挙げて挨拶をする。
「ようじゃねぇよ!」
「急にすまん」
「戻って来る気になったのか!?」
下で見たのと同じように目をキラキラさせて、嬉しそうに私に近づいて来てくれる。