全然怖くねえ…。
「あれ、瑠榎。どうした?」
どうしたものかと思っていると、扉の方から聞きなれた声が聞こえた。
「あ、悠斗」
「ん?朔は?」
「來輝くんも。朔は私の後ろにいるよ」
その後ろからひょっこりと顔を出した來輝くんに返事を返せば、悠斗の雰囲気が少し変わった。
「で。その人達は?」
「っ…行こう!」
それを感じ取ったのか、女の子達は逃げるようにどこかへ行ってしまった。
「バイバーイ」
後ろ姿を見送ってから、振り返って朔を抱きしめた。
「大丈夫?」
「ごめん。瑠榎…」
弱っている朔をなだめるように背中をポンポンと叩く。
「言いたい奴には言わせておけばいいよ。私が、来年度には全部変えてやる」
「え?」
「朔は何も気にせずに楽しみにしてて」
きょとんとしている朔の頭を撫でてから笑いかけた。
「あ、そうだ。なんか校門のとこに隼人がいるから回収して帰るわ。また明日ね」
「わかった」
「瑠榎、ありがとうね!」
「また明日〜」
口々に返してくれる返事に笑顔で手を振って応え、教室を後にした。

