「で、朔は?」
「…10位」
私の声にビクッとした朔は目線を下に向けたままボソボソと答えてくれた。
「すごいじゃん」
「蘭帝の最低条件、知ってる?」
顔を上げたものの、目が遠くを見ている朔。
「ん?知らない」
「学内の試験において、上位10位以内に入っていること」
「あら…」
死んだような顔で呟いた朔にかける言葉が見つからなくて思わず苦笑いを浮かべてしまった。
「また來輝に教えてもらおう…」
「俺かよ」
「だって悠斗は教えてくれないんだもん」
「俺は考えさせる主義なの」
「とか言って!参考書ポンって渡されて終わりなんだよ!わかんないんだよ!」
悠斗に怒りながら腕をバタバタとさせる朔に2人が冷めたような目で見る。
「まあまあ…。一緒にがんばろ?」
「瑠榎あー…!!」
抱きつく朔を受け止め、背中をポンポンとしながら私もちょっとは勉強しないとなあと考えていた。

