「朔、気にしなくていいよ。私はなんとも思ってないから」

「でも…!」

「大丈夫。この陰口も来年度には無くなってると思うし」

「え?」



不思議そうな顔の朔に笑顔を向けて、一足先にいつのまにか着いていた靴箱で靴を履き替えた。



「あ、待ってよ!」

「置いてくよ〜」



慌てている朔を見ながら、私はいつのまにか小さく笑顔が溢れていた。



「じゃあ、休み時間にくるから!」



余程心配なのか、私の教室の前で向き合って力強く伝えてくれる。



「うん。わかった」



笑顔で返事をすれば、朔は自分の教室の方へ足を進め始めた。



「じゃあね!何かあったらこっち来てね!」

「わかった」

「約束だからね!」

「わかったわかった」



何度も振り返りながら念押しをしていく朔に手を振って見送り、朔が教室に入ったのを確認してから自分も教室の扉を開けた。