あれからそんなに日も経たずに傷は完治し、無事退院した。

そして、退院してからはじめての登校日。



「瑠榎ー!!」

「わっ!!」


校門をくぐれば、すぐに後ろから朔に抱きつかれてバランスを崩しそうになった。


「もー、危ないじゃん」

「ごめんー!おはよう!瑠榎!」

「ん。おはよ」


可愛い笑顔に癒されながら挨拶を返し、靴箱までの道のりを2人で歩く。



「あれ、藤堂さんって退学したんじゃなかったんだ」

「まだ朔様と一緒にいるよ」

「朔様に釣り合ってないよね」

「頭も良くないし、運動だって…ねえ?」



久しぶりの登校で懐かしささえ感じる周りからの陰口。

私自身は慣れてるし、元の記憶も戻ったし、これからは目立っても文句言われないし、仲間も堂々といると言える。

それだけでもう十分。

だから、私はなんともないんだけど。


隣を歩く朔を横目に見ると、悲しそうで不安そうな顔をしていて、私よりも朔の心に傷をつけていることは明確だった。