お昼過ぎ。
病室には早めにきてくれた悠斗がいて、私はどこかそわそわした気分でいた。
「落ち着けよ」
「無理だよ!」
あんな別れかたしたのに落ち着いて迎えれるわけないじゃんか!
「あ、来たかな」
「え!」
悠斗の声に耳を澄ませば、病室の外から看護師さんの走らないでくださいという声とすみませんと謝る聞き慣れた声が聞こえた。
「お願いだからそばにいてね」
やっぱり、朔達に冷たい目を向けられるのが怖くて思わず悠斗の袖を掴んで顔を見上げる。
小さく息を吐いてから私の頭を撫でて、優しい笑顔を向けてくれた。
「わかったよ」
「ありがとう」
悠斗の優しい顔と声に少し安心して、ぎこちないながらも笑顔を向けれたと思う。
そして、病室の扉が勢いよく開いた。

