目の前の女の子を見ているのが辛くなってパッと目線を下に向けた。
「いえ…別に…」
目に入った女の子の上靴のラインの色が私と同じ赤色で、同じ学年だと少し関係ないことを考える。
「元気ないね?何かあった?」
下を向いている私を覗き込むようにする女の子から更に顔を背けた。
「別に…」
目を合わせることを諦めたように女の子は姿勢を元に戻してからまた、私に話しかける。
「名前は?なんて言うの?」
「…藤堂」
「下の名前は?」
「瑠榎」
質問に答えれば、すぐに明るい声が聞こえてきた。
「瑠榎ね。私は野々村朔。よろしくね」
「はあ…」
「私と友達になってよ」
「え?」
驚いて顔を上げれば、満面の笑みでこちらを見ている女の子がいた。
「瑠榎に興味を持っちゃった」
「興味…」
「そ!だめ?」
「だめ、とかは…」
「やった!!」
この格好をしている限り、どうせすぐに離れていくんだろうけど。
どこかで淡い期待をしている自分がいて…。
友達、なんて作っちゃダメなのに。
こんな私でも…なんて。
少し辛くなってまた目線を下に向けた。

