「さて。俺は今回の後片付けしてくるわ」
少し真面目な顔に戻ったお兄ちゃんは椅子から立ち上がって、笑顔を向けてくれた。
「また明日来る。大人しくしとけよ?」
「うん。わかった」
「じゃ、悠斗くん。あとはよろしくね」
「はい」
お兄ちゃんはそれだけ言うと、ひらひらと手を振って西条さんと共に出て行った。
2人が出て行った病室はとても静かで、少し気まずかった。
「あのさ」
「ん!?」
急に悠斗が口を開いたから、とっさに変な声が出た。
「そんな慌てなくても」
「うん、ごめん」
私が話を遮ってしまったから、また沈黙が流れ、しばらくしてから悠斗が口を開いた。
「…朔と來輝のことなんだけど」
2人の名前を聞いて、私の心臓はドクンッと音を立てた。

