「とりあえず出てきたところを捕まえて、話を聞いたわけだ。西条も呼んでな」
そこでお兄ちゃんは大体のことを把握して、組の人に伝えたらしい。
「早川には協力してもらうことを約束してわかれ、翌日に瑠榎を迎えに行く予定だった」
「でも、私が帰ってこなかった」
「そ。で、学校から出てきたイケメンを捕まえて何か知らないか聞いたら、もう帰ったって言うもんだから、急いで乗り込んだってなわけ」
あのイケメンはいい奴だと嬉しそうに話すお兄ちゃんに、私は1人だけ頭に浮かんだ顔が心臓を激しく動かした。
「そのイケメンって…」
「ああ、もうすぐ来ると思うぞ」
「瑠榎!」
慌ただしく病室に入ってきたのは髪を乱した悠斗だった。
「やっぱり、悠斗だったんだ」

