お兄ちゃんも私もひと通り泣いてから、お兄ちゃんが今までのことを話してくれた。



私が中3の時の3月半ばにお兄ちゃんは黒川からお金を借りてしまったらしい。

でも、きちんと返済は続けていて、完済までは行かなくても、妹には手を出さないという約束を守ってもらえるだけの返済はしていた。



だけど、ある日突然私が居なくなった。



「黒川から妹は人質だと連絡がきた時は、目の前が真っ暗になった」



なんとか私の居場所を探していると、1ヶ月近くたっていたらしい。



「気づけば桜も散ってるし、金は返さないといけないから働くことは辞めれないのに探しても探しても見つからないし。もう死のうかなとか思えるくらいに、途方に暮れたよ」



そして、また1日見つからなかったと肩を落として家に帰れば、家の前に黒い車が止まっていたらしい。



「中からこんないかつめな奴出てくるし、あ、俺終わったなって思ったよ」



お兄ちゃんに指さされたさっきの男の人、西条さんは照れ臭そうに笑っていた。



「そしたら俺が親父の後を継ぐ人間だとか言われるし、何の事かさっぱりだし」


「いやー、全く知らないとは思っていなくて…。すいませんでした」




そして、西条さんから話を聞いてお父さんがまさかの藤堂組の組長だったと知り、この力を使わない手はないと二つ返事で了承したらしい。