次に目を開ければ、白い天井が視界いっぱいに広がっていた。


「いった…」


少し体を動かせば左肩に激痛が走る。


肩に手をやり、左側を見ると私の左手を握ったまま眠っているお兄ちゃんがいた。

お兄ちゃんは変わらず整った顔をしていて、目の上まである前髪や耳を覆うほどの長さの横髪が顔にかかって少し可愛く見えた。



「夢じゃなかった…」



お兄ちゃんに会えたことも、黒川から解放されたことも、何もかも。

ここにお兄ちゃんがいて、左肩の痛みがあって、私は全部現実だったと実感できた。


窓からは光が差し込んでいて、夜が明けていた事がわかった。



「お嬢…!」



声がして顔を上げれば、気を失う前に冷静に話をしてくれていた男の人が、目を見開いてこっちを見ていた。



「あ…どうも…?」



何を言えばいいのかわからず、苦笑いで言葉を発せば、次は目を潤ませてお兄ちゃんに近づき、起こし始めた。



「お頭!瑠榎さんが!お嬢が起きました!」

「んあ?」



なんとも間抜けな声を出して目を開けたお兄ちゃんは、私を見て一瞬驚いた顔をして私に抱きついた。

ちゃんと傷口が痛まないように考えてくれていて、嬉しくて安心した。




「このバカ!俺なんか庇って無茶しやがって!」

「ごめんごめん」




怒られてもそれすら嬉しくて、この人を護れてよかったと思った。