半ば無理やり少し考える時間という名の保留時間を与えられ、私と朔は倉庫を後にした。
「瑠榎…」
「んー?」
真っ暗な道を2人で歩く。
「ひとりで抱え込まないでね…?」
「ん?黒龍のこと?大丈夫だよ!」
なんて笑い飛ばしたけど、私はずっとあの人のことでいっぱいだった。
「あ。私ちょっとコンビニ寄って帰るからこっち行くね」
違う方向へと歩き出そうとした時、朔が私の制服の袖をつかんだ。
「これからも友達でいてくれる?」
その言葉を聞いた私は驚いた。
不安そうな目で私を見つめる朔に私はなんとか笑顔を見せて、あんまり顔を見られないように朔の頭を撫でる。
「私は朔を護るって決めたんだよ」
「瑠榎…ずっと友達?」
私の呟いた声は聞こえていなかったようで下を向いたままの朔にすぐ返事を返せない自分がすごく嫌だ。
「…朔が友達でいてくれるなら」
「そんなの当たり前じゃん…!」
バッと顔を上げた朔は少し涙目で、何も言ってないのに私が離れて行くって思ったのかな、なんて不謹慎だけど少し嬉しく思ってしまった。
「ありがとう」
私の返事を聞いて、朔は笑顔を見せてくれた。
「じゃあ、またね」
「また明日ね!」
変わらず笑顔で手を振ってくれる朔を見れなくて、すぐに背を向けた。
朔の笑顔を見れたから…。
私は…戦える。
私の頬を一筋の涙がこぼれた。
「ごめんね…朔。ありがとう…」
そんな私の呟きは暗くなった空に消えた。

