「…わかった。でも私も行く。それなりに護身術は身につけてるから、瑠榎の役に立てるかも知れない」
「ありがとう」
そして私たちは黒龍の溜まり場へ向かった。
「ここだよ」
しばらく歩いて着いたのはとても大きな倉庫。
なつかしい…。
初めてのはずなのに…。
どこか懐かしい気持ちが私を駆り立て、少し朔と離れて倉庫の周りを見に行った。
夏が近づいていて日は長くなっているけど、もう空が暗くなり始めている。
だからかな?
気が付かなかった。
「瑠榎っ!!うしろっ!!」
朔の声を聞いて振り向いたけど、間に合わなかった。
ガンッ
「う"…」
額に鈍い痛みが走る。
いってぇ…!
金属バットか…?
ふらつきながら殴られた額を抑える。
視界に入ったのは男物のスニーカーを履いた足が私から離れていくところだった。
「瑠榎っ!!瑠榎…!!」
やば…意識が…。
こっちへ走ってきてくれる朔の声を聞きながら私は意識を手放した。

