そして、頭をよぎった映像は…たくさんの人の真ん中で笑っている…私…?



「っ…はっ…」


「ちょっ…大丈夫?!」



あまりの痛さに頭を抱えて膝をついてしまっていた。

しゃがんで私の方を抱いてくれた朔の腕を掴み、なんとか返事をする。



「だ、大丈夫…。ねぇ、朔。あの瀬川って人…黒龍だって言ってたよね?」


「え…うん。そうだけど…」


下を向いていた頭を上げれば、キョトンとした朔が目に映った。


「黒龍の溜まり場…知ってる??」



確めるしか…ないよね。



「知ってるけど…まさか、行く気?」


私の考えていることがわかったのか、目を見開いてから真剣な目が私を捉える。


「うん」


そんな朔の目を見て、肯定の返事を返した。


「ダメだよ!いくら瀬川さんが瑠榎の事知ってるかも知れなくても、相手はこの辺り一帯を占めてる暴走族なんだよ⁉︎危なすぎる!」



そう言ってくれる朔は真剣そのもので。

必死に止めてくれる人がいるって…うれしいな。



「それでも行きたいんだ」



朔の目をまっすぐ見て言った。


知りたい。私が知らないことを。

きっと、知らないといけないことだと思うから。