しばらく走り続けて学校からだいぶ離れた所で立ち止まる。



「ハアハア…ちょ…瑠榎…ほんとに…しらないの?」



朔が息があがっているせいで途切れ途切れにきいてくる。



「…知らない」



でも、思い出さないといけない気がする。

何か、忘れているような感じがしてならない。



「瀬川さんは黒龍の幹部の人だよ。黒蝶の舎弟とかきいたかな」


少し落ち着いた朔がさっきの人の事を説明してくれる。


黒蝶の…。

そんな人が私を総長って…。



「瀬川さん、瑠榎のこと総長って呼んでなかった??」


わからないことが多すぎて、朔の顔も険しいままだった。


「うん…」


小さく返事を返してできる限り、今の状況を整理しようとする。

瀬川さんってゆう人が総長って言う人は…黒蝶しかいないよね?



私が…?

黒蝶…?



『そ…ちょ…!!』


ズキンッ…


「っ…!!」


誰かの声が頭の中でリピートされたと思えば、強烈な痛みが頭に走った。