「瑠榎ー!!かえろー」
「うん!」
放課後になり、いつも通り朔が教室まで迎えに来てくれる。
相変わらず周りの目は厳しいけど、朔達がそばにいて護ってくれているから前みたいないじめはなく、平和な日々を送っている。
「あれ、悠斗くんと來輝くんは?」
カバンを持って教室を出れば、いつもいる2人の姿が見えなかった。
ちなみに。
5月も半ばになって最近、やっと2人のことを下の名前で呼ぶことができるようになった。
「2人はそれぞれ用事あるから先帰ってって言ってたよ」
「そうなんだ」
朔の返事を聞いてから帰る方向へと足を進めた。
今日もいつも通り、帰るために朔と校門をくぐった時。
「総長…?」
男の子の声がかすかに聞こえた。
声のした方をみると、茶髪のイケメンくんが。
「瀬川隼人…?」
朔が驚いたようにイケメンの名前らしきものをつぶやいた。
朔の知り合い?
「やっぱり!!瑠榎さんじゃないですか!」
私の名前を呼んで、ものすごい笑顔で近づいてくる茶髪の人…。
この笑顔…どこかで見たことある…?
「え、瑠榎…知り合い…?」
「…知らない」
驚いた顔のままの朔にモヤモヤしたまま、小さく答えた。
私がそう言った瞬間、今度は茶髪の人が驚いた顔をする。
「なにいってんすか!!俺っすよ!!瀬川隼人っす!!」
瀬川…隼人?
「知りません。人違いじゃないですか?…失礼します」
一瞬とても悲しそうな顔をされたけど、朔の手をひいて走り去った。

