どこを歩いてもチラチラと見られ、コソコソと陰口を言われる。
その度に下を向きそうになるのをグッと堪えて前を向いて過ごした。
放課後になり、帰る準備をしてから朔達の教室に向かって、おそるおそる中を覗けば、寛いでいる様子の里仲くんと目があった。
「あ、瑠榎ちゃん」
優しい笑顔で手招きをしてくれ、なんだかホッとして教室の中へと足を進めた。
「ごめん、瑠榎!ちょっと待ってて!提出するプリント忘れてた!」
里仲くんの近くまで行けば、朔が泣きそうな顔をしてシャーペンを握ったまま私に謝ってくれる。
「この馬鹿。早くやれ!」
「もっと優しく教えてよ!」
「寝てるからだろ!」
そこにはもちろん朔だけじゃなくて佐山くんもいた。
佐山くんが朔のプリント手伝ってるのか…。
「今日は最近できたカフェ行くって言ってたよね」
ここに座りなよ、と里仲くんが隣の席をポンポンと叩いてくれる。
遠慮なく、里仲くんの隣に座った。
「そうなんだ。甘いもの食べに行くとしか聞いてなくて…」
「らしいよ。誘った張本人がアレだけどなー」
困ったように笑う里仲くんの視線の先には朔がいて、私も苦笑いしか返せなかった。

