「その蘭帝って誰なの?」
私の質問に朔は少し悲しそうに笑いながら答えてくれた。
「私たち3人だよ」
「…え」
朔と里仲くんと佐山くんが蘭帝…この学校の憧れの存在で学校の象徴…?
3人の上着の襟には蘭の花の形をしたバッヂが付いていた。
「そうなんだ」
「…それだけ?」
私が返した返事に朔はびっくりしたように目をまん丸にしていた。
「んー…A組なのは知らなかったけど、3人ならなんか納得。それに朔は朔だし、昨日1日楽しそうに過ごしてくれた朔は嘘じゃないでしょ?」
「でも、周りの目とか気にならないの…?私たちといると周りがうるさいよ?それでもいいの?」
「…私は今までいじめられてきたから。周りなんてずっと敵だらけだったよ」
そう言って笑えば3人は気まずそうな顔になった。
そんな3人から目を背けるように私は目線を下に向けて上靴を見る。

