佐山くんと里仲くんとで何か2人で話しているのを見て、朔がため息をついた。
「ちょっと…。本題いってもいい?」
「あ、ごめん」
2人がおとなしくなったのを見てから朔が私に視線を移した。
「うん、お願いします」
私が返事すると、4人で円を描くように向かい合って座り、朔はふう…と小さく息をはいてから話をはじめた。
「蘭帝はこの学校の憧れの存在、と言われている人達のこと。その人達には特別なバッヂが与えられるの」
「憧れ…」
「蘭帝に入るには勉強も運動もできないとダメなんだよ」
繰り返し呟いた私に補足するように里仲くんが説明してくれる。
「文武両道ってやつですか」
「この学校は元々学力に応じてクラス分けされてるでしょ?」
「うん。A組が1番賢いんだよね」
朔の言葉に頷きながら興味のなかったクラス編成を思い出す。
ちなみに私はD組で1番下はE組。
「そう。そのA組の中でも特に運動ができる人を蘭帝に選ぶの」
「へぇー…」
「そして、蘭帝に選ばれれば学校の象徴、みんなの憧れの存在になるってわけ」
「ふぅーん」
なんか、すごい人達なんだなあ。
キラキラしてるイメージだ。
「でも蘭帝になれば、周りからは敬語を使われるし、様付けで名前も呼ばれる。蘭帝じゃない人が蘭帝と仲良くすれば、周りから色々言われるから友達らしい友達なんて蘭帝の中でしかできないし」
朔は少し寂しそうに笑って説明を続けてくれる。
「ま、先生からの評価は悪くないからあんまり怒られねぇけどな」
いたずらっ子のように佐山くんが笑うのを見てからずっと疑問に思っていたことを聞くことにした。

