ゆっくりと顔を横に向けると予想通り、抱きついているのは朔だった。



「朔…ビックリした」



私が朔に向けて言葉を返すと、教室が一瞬静かになって、またすぐにざわざわと騒がしくなった。



「いま…朔様を呼び捨てにした?!」


「うそー!!」


「じゃあ…藤堂さんも蘭帝に?!」



なんかみんなこそこそ何言ってるんだろ。

蘭帝ってなに?それに、朔様って…?

意味がわからないといった目で私から離れた朔をみた。



「…屋上行こっか」


「う…うん」



屋上に誘った朔の顔は笑顔だったけど悲しそうだった。