「雑魚がいきがってんじゃねぇぞ!!」



中瀬が悠斗に殴りかかれば、悠斗は楽しそうに笑いながら拳を避けて急所を一発殴っていた。


殴られたところを抑えて膝をついた中瀬を冷めた目で見下ろす。



「どっちが雑魚だよ」

「くそ…っ」

「ったく…仲間連れて帰れ」



私と喧嘩した後ということもあり、もう立てない様子の中瀬にため息をついてから私の方へと戻ってきた。



「流石。強いね」

「バカ。あんなのほとんど瑠榎がやっつけてただろ」

「まあね」



得意げに肯定すれば、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。



「さて。帰る前に少しお話」



膝をついたままの中瀬の前で見下ろすように立つ。



「んだよ…」

「紅嵐を解散させるか、黒龍の傘下に入るか。選べ」

「んでだよ…」

「一度好き勝手やった奴をそのまま野放しにするわけにはいかないからだよ」

「のこのこ下に入れるわけねぇだろ」



中瀬は目線を下げ、絞り出すように声を発した。



「そう?そんな事気にする奴なんてここにはいないけど」

「ハッ…すごい自信だな」

「当たり前だろ。私の仲間なんだから」