「んだよ、お前…!」

「うるせぇな。そんな物騒なもの振り回してんじゃねぇよ」



いつもより低い声の悠斗は、私からそっと離れるとパイプを受け止めた左腕をプラプラとしながら中瀬と向き合うように立ち上がった。



「ゆう…」

「そこにいてろ」



声をかけようとすれば、一瞬振り返った悠斗に見下ろされてしまい、なにも言えずにソファの上で動かずにいることにした。



「お前、黒龍の奴じゃねぇだろ」

「あぁ、違うな」



ボロボロの中瀬に淡々と返事をする悠斗。



「関係ない奴はすっこんで、そこどけよ」

「瑠榎を守るって約束してるから…関係ないなんて事はないんだよなあ」

「黒龍の総長を守る…?馬鹿じゃねぇの」

「そうか?」



鼻で笑った中瀬に不思議そうな顔をする悠斗をまた中瀬が睨む。



「黒龍最強の奴、なんてこの辺じゃ1番強いってことだろうが。雑魚は引っ込んでろ」

「雑魚かどうかは手合わせの後に聞きたいね」



悠斗はそんな睨みなんて関係ないといったように口角を上げて、楽しそうに笑う。


ほんと、こんな顔見たことないよ。

久しぶりということもあってか、どこかいきいきして見える。