「下は大丈夫だし、救急箱はそこの棚の中」

「あれ、春真…」



呆れたような声が聞こえて、目を向ければ春真が扉のところで肩を預けて立っていた。



「体格差考えてから喧嘩しろよ…。こんなでかい奴、俺でもしんどいわ」

「類まで」



春真のうしろからひょっこりと顔を出した類を見て、この2人が下の騒動を抑えてくれたんだとわかった。



「みんな怪我してない?」

「下の奴らは何人か大怪我してたけど、数人で収まったし骨折程度で死にそうな奴はいない。俺たちは無傷」

「夏樹…そっか…。よかった…」



2人の後ろから姿を見せてくれた夏樹の言葉に安心すると急に足の力が抜けて、悠斗に体を預ける形になってしまう。



「とりあえず瑠榎の傷口どうにかしねぇと」

「うわ!?」


少しまだ怒っている悠斗が私を抱き上げ、いわゆるお姫様抱っこをされてしまう。



「ちょっ…!悠斗!?」

「うるさい。暴れるな」



怒っている悠斗の目には逆らえず、小さくはい、と答えてから大人しくすることにした。


ゆっくりとソファに降ろされ、春真が言っていた棚から救急箱を取り出して私の怪我の手当てをしてくれた。