悠斗に一緒に行動してもらうように頼んでから1週間。
夏樹からも特に連絡はなく、警戒態勢ながらも平和な日常を送っていた。
「夏休みだねぇ…」
「その前に暑さで溶けそう」
終業式間近の放課後、A組の教室でいつも通りのメンバーでグダグダと過ごす。
机に伸びていた朔がガバッと体を起こすと、キラキラした目でみんなを見た。
「夏休み、みんなでどっか行こうよ!」
「いいねー!瑠榎ちゃんはどこか行きたいところある?」
朔の提案にいち早く賛同した來輝くんが私に優しく笑ってくれる。
夏休み、か。
中学の間は喧嘩してたり、黒龍の奴らと遊んだりしたなあ…。
最後の1年は楽しい記憶なんてないけど。
「んー…特にないかな。みんなと一緒ならどこでも楽しいだろうし」
「瑠榎〜!!かわいい!!最高!!絶対楽しませるから!」
みんなと過ごす想像しただけで楽しくて、思わず笑顔になってしまう。
そんな私にノリノリで答えてくれる朔にまた笑顔になって、楽しいこんな時間が続けばいいと思った。