「まあ、そこは置いといて」

「え」



特に気に留めることなく話を続ける類に驚きながらも話を聞く。



「悠斗くんに手伝ってもらうからには情報共有はしないといけないと思うので…」

「あぁ、私が伝えるよ」

「それを頼りにはするけど、瑠榎は迷惑かけるとか言ってたまに情報共有を怠るところがあるので、連絡先を交換していただけると嬉しい」

「ちゃんと伝えます〜!」

「それは否定できないね。全然いいよ」

「だから大丈夫だって!」



私の話を聞かずに話を進めていく2人に怒るけど、全然気に留める様子はなかった。

なんなんだ、と少し口を尖らせながらソファに背中を預ける。



「ねぇ」

「うん?」



突然の春真の短い呼びかけに笑顔で応じる悠斗。



「あんた、強いの?」

「んー…最近喧嘩してないからなあ…」

「俺と勝負してよ」

「春真、無駄な喧嘩はさせないよ」



なぜか少し喧嘩腰の春真を諭すように止めた。



「悠斗くんに絡むのやめとけ。夏樹の情報もあるから強さは信頼に値するだろ」

「でも、最近喧嘩してないって言ってるじゃん」



類も少し呆れたように春真を止めるけど、納得していない春真はムスッとしたままだった。



「それは私もだよ。でも、守るものがある時の喧嘩は絶対に負けない」

「瑠榎は前の強さ知ってるもん。でも、この人が本当に強いのか、瑠榎を任せてもいいのかなんて初めて会ったのにわかるわけないじゃん」

「それはそうだけど…。夏樹が強いって言ってたから、大丈夫だよ。それに、私自身もそんなに弱ってないと思うから大丈夫だ」



まだ納得しきれていない春真の頭を撫でて小さく息を吐いた。



「何かあれば春真に連絡する。だから、その時は力を貸して?」

「連絡してくれる?約束?」



不安そうに上目遣いで私を見つめる春真に笑顔を向けた。



「約束」

「…わかった」

「ん。ありがとう」



渋々ではあるが、納得してくれた春真の頭をもう一度撫でた。