「…この人だれ?」



さっきの笑顔は何処へやら、急に鋭くなった目と雰囲気で悠斗を見つめる。



「私の友達。春真達にに紹介しようと思って来てもらったんだから、そんな怖い顔しないの」



私の言葉に口を尖らせて、少し拗ねた様子でなぜか私に後ろから抱きつくように貼り付いた。



「…同じ学校の人?」

「うん」

「昨日、夏樹が言ってた人?」

「あ、そうそう。その人」

「ふぅーん…」



悠斗が少し気まずそうに笑っていて、類が少しニヤニヤしている中で頭の上から聞こえてくる質問に答えていく。



「ま、ここじゃなんだし、上行こ」

「そうだな。上、どうぞ」

「あ、ありがとうございます」



私の提案に悠斗を上に案内してくれる類。

その後に続こうとするけど、背後に春真がくっついたままで動けない。



「…春真。離れてくれないと歩けない」

「瑠榎…」



寂しい、とでも言いそうな声で私の肩に頭を埋める春真。

その頭を撫でてなりながら話を続けた。



「春真にもちゃんと悠斗のこと紹介したいし。上、行こ」

「…うん」



渋々納得してくれた春真が離れてはくれたけど、私の制服のシャツを掴んだままだった。