「ったく!!人使いが荒いんだよ!!」
数十分間、駅の近くにあるベンチで座って話していると佐山くんが怒りぎみで2人分のカバンを持って来てくれた。
「ごめんね。佐山くん…」
「瑠榎ちゃんはいいんだよ~」
申し訳なくて謝りながら、笑顔で渡してくれる自分のカバンを受け取る。
「お前は自分で取りに戻るとかしろよ」
ぽいっと朔のカバンを投げるが、運動神経がいいらしい朔は見事にキャッチする。
「ひいきだ!!來輝のばあか!!」
「誰がバカだこら」
「け、喧嘩しないでください!!」
睨み合う2人の間に割って入る。
いきなり目の前で喧嘩しないで欲しい…。
「ごめんね~。よし、バカは置いといてお茶しに行こ!!」
さっきまでの怖い顔がパッと笑顔に変わると、私の返事も聞かずにぐいぐいと手を引っ張っていく。
「瑠榎ちゃん、鬱陶しくなったら置いて帰っていいから!」
「うるせえ!」
後ろから佐山くんの声が聞こえたと思えば、朔が振り返って返事をしていた。
この2人は仲がいいのか悪いのかわからないな…。

