「よし、帰ろうか」
「うん」
悠斗に誘われ、屋上を後にした。
そして、靴を履き替えながらも話を続ける。
「今日は家に帰るの?」
「いや、黒龍に行くよ」
「じゃあ、そこまで送る」
「え、いいよ!遠回りになるじゃん」
「さっきの約束は?」
「できる範囲で、で大丈夫だよ」
なぜかしょぼんとした顔をされ、不思議に思いながらも返事をすれば次は笑顔を向けられた。
「これもできる範囲だよ」
これは引き下がらないやつだな…。
私は小さくため息をついた。
「わかった。じゃあ、類達にも紹介したいしちょっと寄って行ってよ」
「え、いいの?」
先に校舎から出ようと足を進めた私の後を追いかけるように隣まで早歩きで来てくれる。
「私がいいって言ってるんだからいいに決まってるじゃん」
「やった!1回行ってみたかったんだよ〜」
本当に嬉しそうに私の隣を歩く悠斗に昨日までの張り詰めた気分が少しほぐれた気がした。

