「あれー?女の子じゃーん」
狂っている笑顔を浮かべながら身体ごとこちらを向いた男をにらむ。
「誰だって聞いてんだよ」
「そんな怖い顔しないでよ〜。可愛い顔が台無しだよー?」
一瞬驚いたような顔をしたけど、すぐに元の笑顔に戻り、睨んでいることなどお構いなしに少しずつ近づいて来る男。
目の前に立った男はでかく、190センチはあると思う。
「俺は中瀬遼。紅嵐ってグループの頭だよ」
余裕で私を見下ろしながら何が楽しいのか笑いながら言ってくる。
「これ、お前がやったのか?」
「そうだねぇ〜」
「…クソ野郎だな」
「んー?なんて?」
狂った目を見ながら話していたが、ニヤニヤしていた顔が急に真顔になった。
「素手に武器って…。喧嘩に自信ねぇのかよ」
気にせず言葉を続ければ目が鋭いものに変わった。
「君、女の子だから手出されないと思わないでよ?」
「瑠榎!!」
大きい手が私に近づいて来たところで春真の声がして、後ろに体を引かれた。

