「久しぶりに瑠榎の喧嘩見た」
「久しぶりに不良と喧嘩した」
キラキラした目の春真が近づいてきて、私は肩をほぐすように肩を動かしながら地面に倒れた男を見下ろした。
「怪我ない?」
「ない。それより嬉しそうに喧嘩を買うな」
「えー…」
注意すれば眉を下げて残念そうにする春真。
「えー、じゃねぇ」
「…努力する」
する気ねぇな。
口を尖らせている春真にため息をついてから目的地に向かって足を進めた。
「さっきの奴ら、本当に知らないの?」
「んー、多分紅嵐だと思う」
隣を歩く春真が思い出そうと上を向きながら答えてくれる。
「青龍の近くで会うとか…なんか嫌な予感がするなあ」
「でも夏樹から青と紫についての話は出てなかったし、大丈夫なんじゃない?」
「だといいけど」
そうこうしてる間に青龍の倉庫に着いた。
「春真、よろしく」
「はーい」
扉を開けてくれ、先に中へと入ってくれる。
「柳さん!?」
「お疲れ様です!!」
さすが黒龍の幹部。
みんなに頭を下げられる。
「お疲れ様。総長いる?」
落ち着いて返事を返す春真に感心しながらやりとりを見守る。
「上にいらっしゃいます!!」
「ちょっと話あるからお邪魔するね」
「はい!あの、お連れの方、ですか?」
「あぁ。気にしないで」
不審そうに私を見る子に笑いかけてから階段を上り始める春真に続いて階段を上った。

