そう言ってくれた夏樹の笑顔も弱々しく見えて、私は拳を握った。


こんなに不安にさせているのに、前を歩くなんてできない。



「類。今、全員いる?」

「あぁ。いると思うぞ?」

「よし」



楽しそうに笑う類に少し視線をやってからソファから立ち上がった。



「瑠榎?」



不思議そうな夏樹に笑いかけてから部屋の扉を開けた。


扉のすぐ横にはうつむいたまま壁に背を預けて立っている春真がいて、少し驚いたけど春真にも笑いかけながら頭をポンと叩いてから階段を降りる。

そして、大きく息を吸い込んだ。



「お前らあーーーー!!!」



ビリビリと私の声が倉庫に響く。


下にいた奴らが一瞬静かになり、少しざわざわし出す。

そして夏樹は驚いたように、類は楽しそうに部屋から出てきて下を見下ろしていた。



「1年以上!急にいなくなって悪かった!!」



頭を下げた私に倉庫の中が沈黙に包まれた。

顔を上げて見渡せば全員がこっちを見てくれていた。



「戻ってきたいなんて、私のわがままを聞いてくれてありがとう。絶対にもう急にいなくなったりしない。約束する」



全員の顔を見渡し、そして上を見上げた。



「お前らに信じてもらえるまで何回でも言うから」



夏樹は安心したような、呆れたような笑顔を向けてくれた。



「瑠榎さん…」

「隼人」

「俺らはちゃんと信じてます。だから、あなたについて行くために、ここに居るんです」



その言葉に頷いて、笑ってくれるみんなに私もとびきりの笑顔を向けた。

すると、急に前から何かがぶつかってきて少しバランスを崩した。



「お!?」

「瑠榎」



ぶつかってきたのは春真で、抱きついたまま離れなくなった。



「甘えたか?」



顔は見えなくて、ふわふわした髪を撫でてやる。



「俺、まだちょっと不安なんだ。瑠榎を信用してない訳じゃない。すごく頼りにしてるし、信頼してる。でも…」

「いいよ。春真が納得するまで好きにすればいいよ」



少しだけ声が震えてる気がして、思わず抱きしめ返す。



「瑠榎…」

「ごめんな、春真。夏樹に言われるまでお前の不安に気づいてやれなかった」

「…お詫びに俺が納得するまでそばにいて」

「わかったよ」

「じゃあ、許す…」



グリグリと頭を私に押し付けてくる春真に笑いながらありがとうと伝えた。