「不安なんだろ」


夏樹が説明するように話してくれる。


「俺らの代は先代が辞めるときに多くが辞めたから、歴代最年少の中2で幹部を固めただろ?」

「あぁ。先代についていきたいからって辞める人が多かったな」



あと、謎に先代が私たちを選んだ。
選ばれた時に何考えてんだと思ったな…。



「中学生で黒龍にいるだけでも珍しい事なのに、年上もいる中で幹部を任せられるって俺も春真も類も不安だったんだよ」

「そうだな…」



私も不安だった。
高1の人が多い中で私が上に立つなんて無理だと先代にも言ったけど、「大丈夫」で流された。

そして、なぜか誰も反対する事なく私が総長を名乗ることになった。

中学生だし、女だし、めんどくさい事も起こることが予想できたから、その時は幹部の顔は隠して新しい黒龍が動き始めた。



「でも、瑠榎は変わらず堂々としててどこか安心したんだ」

「え…」



たしかに下を向いたらみんなに示しがつかないから、と前を向いていた。

でも、頼りなくてみんなに助けてもらってばっかりだったのに。



「だから、急に居なくなって俺らは怖かったし、不安だったんだよ」

「夏樹…」

「特に春真は瑠榎に懐いてたし、また居なくなるのが怖いんじゃないか?」