「いやだ、マリアさんすごい隈!


 少しお待ちになって、コンシーラーお貸ししますわ。」




 教室の席につくなり、クラスメイトに半ば強引にコンシーラ―を塗られる


 結局、そのまま何もせずに学校に来たんだっけ

 すっかり忘れてた




「昨夜遅かったのでしょう


 …やっぱりあの噂、本当なんですの?」


「噂って…そんなおおげさな」




 苦笑するけど、否定はできなかった




「マリアさんなら確かにもっと優秀な大学へ進めるでしょうけれど、


 律さん、悲しむでしょうね」




 そう言って彼女が坊っちゃんへ目をやる。


 相変わらずの無表情で、何を考えているのか分からないけれど

 それでもそばにいる女の子たちと、ちゃんと会話は成立しているみたいだ




「…お手伝いさんが替わったってだけのことですよ、

 彼にとっては。」




 それに少しさみしさを感じる私はどうかしてるんだ、きっと