貴女は僕の運命の人ではありませんでした





カフェを出て、車に乗り込む。


エンジンをかけて、助手席のトモをチラっと見ると、シートベルトをして車が出発するのを待っていた。


俺がなかなか車を出発させないのを不思議に思ったのか、“ん?どした?”って感じに小首をかしげる。



・・・帰りたくない。


俺はそのままトモに覆いかぶさるように近付く。


トモはそんな俺に抵抗することなく、ゆっくりと目を閉じた。


唇が触れるか触れないか・・くらいの距離で、





「ねぇ、トモ...俺、ホントにトモが好き。」




「...うん。」




「...帰りたくないって言うか...帰したくないんだけど...?」







そう言うと、トモはチュっと俺に唇を重ねて来た。




トモからキスされるなんて初めてだったから正直驚いた。



少し唇を離し、




「...あたしも...帰りたくないかも...」




トモは少し照れたようにそう言った。