貴女は僕の運命の人ではありませんでした




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30分後に智香さんの家に迎えに行くことになった。


さっきまでのローテンションが嘘みたいで。


軽く鼻歌まで出てるし・・・


さっとシャワーを済ませ、準備。



玄関でハイカットのスニーカーを履いて、



「おかん!!ちょっと出かけてくるから、飯なしでいいわっ!」と叫ぶ。




リビングから顔出した母親が、「今頃言わないでよ!用意しちゃったのに...」と不満そう。




「わりぃ!!明日朝食うから!!」




「了解。って、純ちゃんに会うの?たまにはうちに連れてきてよ?色んな話とかしたいし♪」



「...んぁ...純とじゃねぇし。大学のツレと会って来る。」




「...あっそ。いってらっしゃい」




・・・純じゃない女に逢って来るなんて言えなくて、咄嗟に大学のツレなんて嘘をついた。


“色んな話”・・・母親的には・・・純とどうにかなって欲しいみたいだけど・・・





「行って来ます...」





俺には智香さんしか考えられないから。