貴女は僕の運命の人ではありませんでした




言われた通り、薬局の裏のマンションの前に智香さんは居た。


智香さんの前に車を停めて、窓を開ける。




「ジャスト19時半♪乗って♪」




「うん!ありがとう!」



そう言うと、なんの躊躇いも無く後部のドアを開けた。


・・・やっぱり、助手席に乗る気なしか・・・。




「ねぇ、伊東くん。後ろ...荷物あるし?」





「あぁ...ごめん!実家に寄る時間無くて、野球道具積んだままなんだ...前乗ってよ♪」





「え?あ、うん、わかった!」





智香さんを助手席に誘導するのに成功・・・




そんな事も知らず、智香さんは後部のドアを閉めて、助手席のドアを開けて・・・




「お邪魔しまぁす...」と遠慮がちに乗り込む。




そんな姿も可愛く思える。




「っじゃぁ、飯行きますか♪カツ丼でいい?」




「うんうん!!すでにあたしの胃袋はカツ丼仕様です♪」




「なんだそれぇ~」




・・と、左に座る智香さんをチラ見。


今日の智香さんはデニムに黒のカットソー・・と綺麗目カジュアルで。


何を着ても似合うんだ・・・




・・・ねぇ、智香さん。


・・・知ってる?






運転席と助手席の距離って、お互いのテリトリーを少しだけ進入してる距離なんだって。





・・・恋が芽生える距離なんだって。