貴女は僕の運命の人ではありませんでした




そこからまた俺たちは野球の話で盛り上がった。



智香さんの野球の知識は凄い。さすがの野球バカの俺でも感心するくらいだ。




・・そんな事より・・気になることが。


智香さんは運転席に居て・・・俺は左後部座席。


智香さんは時々左後ろを振り返ってはくれるけど、ほとんど正面見て話してる。





「...ねぇ、智香さん。」




「ん?なに?」




俺は智香さんが振り返るのと同時に、グイっと身体を助手席と運転席の間に乗り出した。





「わァッ!!」




智香さんは驚いて、おもいっきり後ろに身体をやったから、運転席の窓ガラスに後頭部を強打・・・




「...いったぁぁぁーーーい!!もぉ!!伊東くん、何?!ビックリするじゃん!!」



両手で後頭部をさすってる姿も可愛くて、でもおかしくて。




「ゴメンゴメン!!ってか、そんなに驚かなくてもよくない?!軽くショックだわぁ...ってか、たんこぶできてない?大丈夫?」




「...大丈夫だと思う。もぅ!ホントビックリした!!」




「だって、タクシーに乗ってるみたいだったからさ。運転席と後部座席..で。ってか、智香さんさ、俺のこと警戒してるっしょ?」




「ハハハっ!!そう言われたらそうだよね。タクシー乗ってるみたいだね♪」




「...はぐらかさないで。...で?警戒してるのしてないの??」




すると智香さんは・・・はじめて逢った時と同じ笑顔で




「伊東くんは紳士だから♪」




・・そう言った。