貴女は僕の運命の人ではありませんでした




「...え...?」




智香さんは、驚いたような・・ちょっと困ったような顔を一瞬した。


“ダメ?” って聞こうと思ったら、“ププッ”と、後ろからクラクションを鳴らされ・・・




「あ...青...」




智香さんに信号が青だと知らせると、何も言わずに車を走らせた。





数分の間、お互いに無言。





困ってる・・よな。きっと。でも、今日、このまま帰りたくないし。


もう少しだけでいいから、智香さんと一緒にいたい。


かと言って、こんな時間にやってるカフェは残念ながらこの辺りにはない。


ラブホはあるけど、さすがに・・。


ファミレス・・・もなぁ。



アレコレ考えていると、智香さんの方から話しかけてきた。




「...んじゃぁ...少しだけなら。とりあえず、この辺で公園とかないの?」




絶対断られると思ってたから、正直驚いた。




「...え?あ...こ、公園...えぇーっと...」




俺は頭の中のナビを稼動させ、付近の公園を3件にしぼる。


そして後部座席から助手席と運転席の間に身を乗り出すようにして、




「あ!!次の信号を左に行って!!」




「了解!!」



ちょっと笑いを堪えたような感じで智香さんは言った。