貴女は僕の運命の人ではありませんでした





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帰りの車の中でも、ずっと野球の話ばかりしていた。




女の子とこんなに野球の話をしたことは生まれて初めてで、物凄く楽しくて・・




気が付けば、もう俺の家の近くまで来ていた。






「...10時回っちゃったね。ごめんね、遅くなって...」





「いいよ。誘ったのは俺だし...」





「...ところで、ドコまで送ればいい?さすがに家の近くだと彼女に見られたらマズイっしょ?」




「...あぁ...見られないから大丈夫だよ。」





“彼女”って言葉に、一気に現実に戻された感じがした。


俺は、純なんかより、智香さんと一緒に居たいんだけど。





「...ねぇ、智香さん。」




「ん?なに?」




ちょうど信号待ちで停まっていたから、智香さんは後部座席に座る俺を振り返ってみる。









「もう少し、智香さんと話してたい...んだけど」









俺は・・・意を決してそう言った。