結局、智香さんはホームランのボードには当たらず・・・
でも、いつも以上に打てたようでご満悦だった。
「はぁ~いい汗かいた!って、次は伊東君打ってよ!!」
「おぅ、そのつもり♪」
そのまま、110キロのマシンの所に入ると、後ろから“えーーーー?!?!伊東君、110キロなんて打てるの?!大丈夫?!“なんて声が。
「...あのねぇ。これでも一応、小学校から大学まで野球やってたし、大学なんて一部リーグだったんですけど?現役の時は130キロとかウォーミングアップだったし。」
「へぇ...そうなんだ。彼氏もだよ~彼氏は社会人野球までだけどぉ...」
・・また彼氏の話かよ・・。
「彼氏はどこの大学だったの?」
「桜徳大だよ~!!って、ほら、ボール来るよ!!」
・・・桜徳大・・だってぇ??
超野球エリートじゃんか・・・。なんか・・・ムカついてきた・・・。
---- ズバァーーーーーン ----
「....あ....」
「あ...じゃないぞ!!伊東、余所見するな!!ボールに集中しろっ!!」
俺は、最初の一球は見逃したものの、残り全ての球を奥のネットまで飛ばした。
智香さんは、俺が打っている間、ずっと後ろでキャぁキャぁ言っていた。

