「最終確認だ。律は、パパとレオ、どちらにつく?」

「レオは無事なの?」

「おいおい、そんなにレオが大事なのかい?」

「当たり前じゃない」


私は迷いなく言い切った。

パパは、はっと笑い、



「そうか、そうか、わかったよ。少しでも律に期待したパパが馬鹿だった」


そして、パパは、次にはドスの効いた声で言った。



「今からすぐに、エメラルドというラブホテルに来なさい。503号室だ」

「エメラルドホテルの、503号?」

「くれぐれも、ひとりで来なさい。余計な真似はするなよ? これ以上くだらない行動を起こしたら、律の大事なレオの、尻の穴を八つ裂きだ」


冗談にもなっていない。

私は「わかった」と言い、電話を切った。


怒りに興奮して、体中の血液が逆流しているよう。



「律」


呼ばれてはっとした。

奏ちゃんが怪訝な顔で私を見る。



「今の電話、何? レオがどうかしたの? “パパ”って?」


矢継ぎ早に聞いてくる奏ちゃんに、



「ごめん、奏ちゃん。私、ちょっと行ってくる。すぐに戻ってくるから、荷物そのままにしといて」

「おい! 待て、律!」


なるべく心配させない言葉を掛け、でも制する奏ちゃんを振り切って、私は部屋を出た。



これは、私の――私とレオの問題だから。

だから、私たち自身が、今までしてきたことに対する決着をつけなくちゃいけない。