言い切った後で吐き出した息は、震えていた。

それでも泣かないようにした。


私は真っ直ぐにキョウの目を見つめ、



「手、離して」

「嫌だ」

「離してよ」

「嫌」

「お願いだから」

「俺は別れねぇっつってんだろうが!」


最後は駄々をこねる子供みたいだった。

でも、私がもう一度「離して」と言うと、キョウは悔しそうな顔を伏せ、ゆっくりとその手の力を抜く。


私は一歩、足を引いた。



「ごめんね、キョウ」


キョウは顔を覆い、ふるふると首を振る。



「だっせぇよなぁ、俺。マジでだせぇよ」

「………」

「ふたりでいればどうにかなる、どうにでもできるはずだ、って思ってた。そういう希望に縋ってた」

「………」

「けど、俺こんなんだからさぁ。力なくて、律のこと泣かせてばっかで。それでもいつかは、って夢見てたんだよ」

「………」

「だから謝らなきゃいけないのは俺の方」


キョウは顔を上げた。

その瞼の淵には涙が溜まっていた。



「ごめんな、律」