神宮寺君が言っていた通り、その日隼人は夜の9時を回っても帰ってこなかった。

気になって仕方なくて隼人がいつ帰ってきてもすぐ分かるように、二階に続く階段に座って待っていた。

どこにいるの、何をしているの?

まさか法に触れるようなことしてる訳じゃないよね?

心が不安に占領されて居てもたってもいられない

するとガタン、と不意に玄関の扉が動いた。

主人の帰りを待っていたかのように私は玄関に向かう


『お帰りっ…』


「咲絢?何、お出迎え?」

駆け寄ってきた私に気づいた隼人が驚いて目を丸くする

心なしか驚きの中に気まずさというか、何かを隠しているような雰囲気がある


私が疑ってかかるから、そう見えるかもしれないけど。


『あ、のっ』


「ごめん、俺疲れてるんだ。風呂入らせて?」


ぽん、と肩に隼人の手が弾んで私の言葉をかき消していく。

また神宮寺君の言葉が蘇る

帰りが遅くて風呂に入ろうとする

言ってた事、そのまま。


横を抜けた隼人からいつもよりキツイ香水のニオイが私の花を掠める

基本的には出かける時につける香水が今の時間までこんなにきつく香るなんてなかなかない。

つけ直した、ということ


どうして?


無意識に、その疑問を解決するために身体が動いていた。


自分でも驚くほど、大胆な行為。



後ろから、隼人に抱きついた