「隼人、咲絢ちゃんに部屋教えてあげて」


「はーい。咲絢、こっち」


あれから少し経って今日は引っ越し


高杉君の家は三五年ローンで建てたという一戸建てで、2人で住むにはあまりにも広い家だった。



2人になってから引っ越すことも考えたみたいだけど、ローンの事とかもあってここに住み続けていたみたい。


そこに私とお母さんが転がり込む形で引っ越してきた


『あ、ありがとう』



「重いのは俺が運ぶから、咲絢は軽いのね」



私とお母さんは狭いアパートに2人暮らしだったから荷物はあまりない


だから引っ越し業者には頼まず、みんなで作業する事になった。



やっぱり男の人がいると違うんだな、って力仕事になるとつくづく思わされる



私がふらふらになりながら持ち上げた段ボールを、高杉君があっさりと受け取って二階に上がっていく



その力強さにまたドキンと跳ねる心臓



「ここ、元は妹の部屋だったからちょっと内装が可愛いんだけど…ごめんね」



案内されたのは二階の奥から一つ手前の部屋。


壁紙は淡いピンクで、カーテンも可愛らしいレース


ぬいぐるみも窓際に置いてあって、いかにも女の子の部屋っていう雰囲気がもう十分漂ってる


そこでふと、疑問が浮かんだ



「え、妹さんいるの?」