『咲絢……』



気づくと、私の瞳からは止めどなく涙が溢れていた



高杉君は困ったように眉を下げて、せつなげな声で私の名前を口にした



この前も今も、優しいのは家族になるからだったんだ


名前を呼ばれるたびに心臓は疼くけど、名前で呼ぶのは家族になるから



もう、高杉君は私が告白したこと覚えてないのかな


私、また告白したわけじゃないのにまた振られたみたいだ



高杉君はもう再婚の事だけじゃなく、私と兄妹になる事も受け入れてる


それは、好き、なんて感情を抱いてない証拠。



『やだ…嫌だよ。高杉くん…っ』



好きなんだよ、あなたの事が



なりたいのは兄妹なんかじゃない、そういった意味での家族でもない



…恋人に、なりたい。



家族になるなら、あなたの妻になりたい


それはもう、叶う事のない夢ですか?


離れても、時間をおいても、消えないこの想いはどうすればいい?


私だって幸せになりたい。


他でもない、高杉くんと。