不思議書店

香が言うとおり、本はすぐに見つかった。

まったく何処にあるかなんて知らないのに体が勝手に動き出す。

強制されるような動きではなく、ごく自然に『こっちにいけばある』っと思うのだ。

本の背表紙には『友達』と言う題名と良介の名前が作者として書かれていた。

「これ・・ボクの本?」

不思議そうにクビをかしげる良介に香は一度うなずいた。

「友達・・・・か・・」

良介はその題名を見て苦笑を浮かべた。

「その本はアナタのために語ってくれます。本当の真実を」

「本当の真実・・?」

香は再びうなずく。

「アナタの今持っている悩み、語っていただけますか?」

香の白く細い手が良介の肩に触れる。

暖かい手だった。

「アナタをここに呼んだのはその本です。
 ここには一人に一冊、その人だけの本があります。
 この書店の本たちはその人が一番”自分”を必要としていると判断するとその方をこの店へ招きます」

「ボクは・・この本に招かれたんだ・・」

自分の名前の書かれた自分だけの本。

それを良介は暫く見つめていた。