ランドセルを背負った少年は気が付くと『不思議書店』の前に立っていた。

自分でもなぜここに着たのか分からなかったが、なんとなく手が扉を開く。

扉を開くとガラガラっと音が鳴り響く。

店内には本棚がたくさんあり、見た目は普通の本屋とかわらない。

だが、今時のオシャレな本屋とは違い『昔ながらの本屋』といったとこだろうか。

店内に入った少年は一つ不思議なことに気づく。

どの本も表紙や背表紙に題名がない。

そして写真や絵もない。

どれもノートのように何も書かれていなかった。

不思議に思い、少年は近くの本を手に取った。

「いらっしゃい」

その声にビクッとし、思わず持っていた本を床に落とす。

するとその本を白い手が拾い上げた。

少年が恐る恐る横を見ると、年頃15歳、自分より年上と思われる女の子が立っていた。

少女は本を元の場所に戻す。

「いらっしゃい、アナタの悩みおききします」

少女は薄く微笑むと『こちらへ』と少年を促し、木製の自分の机の場まで連れて行く。